子どもが、今までできなかったことをできるようになる。親としては、やっぱり嬉しい。「おお、成長したなぁ」と思う。
でも、世の中にはあるんです。
「できるようにならなくてよかったこと」が。
最近、わが家でまさにそれが起きました。
夜、息子が勝手に下へ降りてくる問題
以前ブログにも書いたのですが、うちの寝室にはドアロックをつけています。理由は、息子のリョウが夜中に部屋から出てしまうから。
夜10時、11時くらい。そろそろ寝る時間なのに、突然ガチャッと部屋を出て、階段を下りてくる。そして下で僕がご飯を食べたり、お酒を飲んだりしていると、当然のように参加してくる。
「いや、君はもう寝る時間だから」と言っても、言葉で納得してくれるわけではない。しかも僕が食べているものを見つけると、そっちに興味津々。
それに、リョウには「夜中に一人で家の外へ出てしまうかもしれない」という怖さが常にあります。だから寝室のドアロックは、わが家の安全インフラのひとつなんです。
夜は、妻とリョウが同じ部屋で寝ています。妻が部屋の内側からロックをかけて、外側からもロックする。二重ロック。これで、リョウが夜中に勝手に部屋から出てくることはなくなりました。
完璧に機能していたんです。
……あの日までは。
ついに、ドアロックの仕組みに気づいた
ある日、リョウがドアロックを触っている。どうやら、ただ触っているだけではない。
観察している。
そして、ついに気づきました。「このボタンを押しながら回せば、ロックが外れる」ということに。
うん。覚えた。まさかの突破です。
ただ、ここまではまだ想定内でした。部屋の中からロックを外しても、外側のロックがかかっている。ドアノブを下げても、開かない。
「よし。二重ロック、強い」
そう思っていました。
ところが、妻には「別の脱出方法」がある
実は妻が朝、部屋から出るときには、ちょっとした裏技を使っています。ハンガーをドアの隙間に入れて、外側のロックを解除する。いわば「ハンガー脱出」です。
文章にするとちょっと怪しいですが、妻は普通にこれで出てきます。
もちろん、リョウにはできないだろうと思っていました。そもそも、そんな方法を知るはずがない。
ところが。ある日、妻がやっているところを見ていたらしいのです。
そして……
ハンガーを持ってきた
リョウが、ハンガーを持ってきた。
ドアのところに持っていく。隙間に入れる。何やらゴソゴソやっている。
すると……
カチャッ。
開いた。
そして、そのまま階段を下りてきた。
…………。
いや。待って。
そこ覚えたの!?
リョウは言葉をほとんど話しません。こちらが言葉で説明しても、やり取りは難しい。それなのに、人がやっているのを見て「なるほど、こうやるのか」と理解して、実際に再現する。
恐ろしい。いや、すごい。すごいんだけど……
今じゃない。
「できることが増えた」のは嬉しい。嬉しいんだけど。
子どもの成長って、本当に面白い。昨日までできなかったことが、ある日突然できるようになる。
特にリョウの場合、言葉で「こうやって」と教えることが難しい分、「見て覚えたんだ」という瞬間には、ものすごく驚かされます。
だから本来なら「すごいじゃん!」と喜ぶところなんです。ハンガーでロックを解除するなんて、冷静に考えたらかなりの問題解決能力です。
観察して。仕組みを理解して。自分で道具を持ってきて。実際にやってみて。成功させる。
……すごい。めちゃくちゃすごい。
でも、親としては思ってしまう。
「その能力、もうちょっと別のところで発揮してくれない?」
今はハンガーを隠しています
ということで、現在の対策。リョウが使いやすいハンガーを、手の届かない場所に隠すことにしました。あれがないと開けられない。いわば、ハンガーが「鍵」みたいなものです。
ただ、これで安心かというと、そうでもありません。リョウはもう「ドアはこうすれば開く」という仕組みそのものを知ってしまったから。
「じゃあ、代わりになるものはないかな?」と考え始めたら、ちょっと怖い。ハンガーじゃない何かを見つけてしまったら? 別の方法を試し始めたら?
そう考えると、「あれ? これ、結構なピンチじゃない?」となっています。
子どもの成長は、親の希望どおりには伸びてくれない
子どもが成長する。できることが増える。それ自体は、本当に嬉しい。
でも、親が「ここが伸びたら嬉しいな」と思っているところとは、全然違う場所が突然伸びることがある。
もっと言葉が増えてくれたらいいな。もっと気持ちを伝えられるようになったらいいな。そう思っている横で、「ドアロックの攻略法を覚えました」みたいなことが起きる。
いや、確かに成長。間違いなく成長。でも……
そこじゃない。
親としては、もうちょっと違う能力が伸びてくれると助かるんだけどなぁ、なんて思ってしまう今日この頃です。
とはいえ、今回の一件で改めて分かったことがあります。リョウは、僕が思っている以上に、人のやっていることをよく見ている。そして、ちゃんと覚えている。
それが分かったこと自体は、大きな発見でした。
だから今は、とりあえずハンガーを隠しておきます。そして次に「お父さん、こんな方法も覚えたよ!」という顔で、新しい脱出方法を披露されないことを祈っています。
……本当に、祈っています。

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