9歳の娘からiPadを取り上げた。1週間後、宿題より先に弟の着替えを手伝うようになった

窓辺の机で宿題をする小学生の女の子の後ろ姿と、棚に置かれた使われていないタブレット 育てる日々

先週、9歳の娘のメグから、iPadを取り上げました。

結論から書くと、これが驚くくらい良い方向に転がりました。宿題が早くなり、勉強時間が増え、そして弟の世話をしてくれるようになりました

ただ、「タブレットは悪だ、今すぐ取り上げろ」という話をしたいわけじゃありません。むしろ僕は、5年間ずっとiPadに助けてもらってきた側の人間です。

同じことで悩んでいるお父さんお母さんは、たぶんめちゃくちゃ多い。だから、うまくいった話も、うまくいかなかった部分も、両方そのまま書きます。

まず白状します。うちのiPadは「妻の仕事時間を作る道具」でした

メグが4歳、5歳くらいの頃。

あの時期の「お母さん、お母さん」は、本気で体力を持っていかれます。相手をしてあげたい。でも妻は仕事をしている。下の子であるリョウには重度の知的障害があって、言葉を話しません。そちらにも手がかかる。

そこで、iPadに登板してもらいました。

きれいに言えば「妻の稼働時間を捻出するため」。正直に言えば、静かにしていてもらうためです。

その選択で回った日が、確実にあります。だから今でも、あれが間違いだったとは思っていません。あの頃のiPadは、我が家にとって立派な戦力でした。

気に入らなかったのは「時間の長さ」じゃなくて「こそこそ」だった

制限はかけていました。YouTubeは見られないように。ショート動画も見られないように。

でも、子どもは賢いんですよね。音楽アプリのような抜け道を見つけて、うまいこと動画にたどり着く。親のブロックなんて、わりとあっさり回り込まれます。

そして何より僕が嫌だったのは、見ている時間の長さじゃなくて、見方でした。

メグは朝6時に起きます。早起き自体は立派なことです。

でも、僕が6時半に階段を降りていくと、リビングのあたりで「サッ」と気配が動く。明らかにiPadを隠している。妻がお風呂に入っている間にも、こそっと見る。

怒られないように、バレないように見る。

あれが、夫婦そろってずっと引っかかっていました。勉強してほしいとか、そういう話ではなくて。うちの子に、家の中で隠しごとをする顔をさせている。それが嫌でした。

怒られないように、バレないように見る。あれが一番いやだった
怒られないように、バレないように見る。あれが一番いやだった

決め手は、視力検査だった

そんな中、学校の視力検査でメグが引っかかりました。片目0.9、もう片方が0.6。

「これ以上悪くなったらiPadは無しだよ」とは、前から言っていたんです。

でも、検査結果が出たあとも、見方は前と何も変わりませんでした。

正直に言うと、ここで僕は少し落ち込みました。怒りより先に来たのは、「言葉が届いていない」という手応えのなさです。

※念のため書いておくと、タブレットと視力の関係については諸説あり、うちの娘の視力低下の原因がiPadだと医学的に証明されたわけではありません。あくまで我が家が「きっかけ」として受け止めた、という話です。気になる方は眼科で相談してください。

取り上げ方だけは、時間をかけた

いきなり没収する、という手だけは絶対に取りたくありませんでした。

「奪われた」という記憶にしたくなかったからです。それをやると、たぶん次はもっと上手に隠すだけになる。

なので、休みの日に3人でお茶をしているときに、切り出しました。家族会議というほど大げさなものではなく、あくまでお茶のついでです。

僕が言ったのは、だいたいこんなことです。

「お父さんもお母さんも、あなたの目のことがすごく気になってる」

「目が悪くなって困るのは、お父さんじゃなくて、あなた自身なんだ。見えづらくなったら、これから楽しいはずのことがつまらなくなってしまう」

「だからお父さんとお母さんで話し合って、iPadはやめた方がいいという結論を出しました。今日からiPadはなくなります。それでいいですか」

主語を、最後まで「あなたのため」で通しました。

「うるさいから」でも「言うことを聞かないから」でもなく、あなたの目のため。ここだけは絶対にブレないようにしよう、と妻と決めていました。

メグは渋々ながら、「はい、わかりました」と言いました。

拍子抜けするくらい、素直でした。

たぶん本人も、薄々わかっていたんだと思います。こそこそする生活が、あんまり気持ちのいいものじゃないってことを。

1週間後に起きた、4つの変化

ここからが本題です。取り上げてから1週間で、家の中がわりとはっきり変わりました。

① 宿題が、帰宅1時間以内に終わるようになった

ある日、2階からカリカリと音がする。何をしているんだろうと思ってそっとドアを開けたら、普通に学校の宿題をやっていました。

今では帰ってきて1時間もしないうちに「終わったー」と降りてくる。それが毎日続いています。

以前は、声をかけて、催促して、それでも夕飯前まで残っているのが普通でした。

② 「暇つぶしに勉強」するようになった

家のiPadはなくなりましたが、学校から借りているタブレットは手元にあります。

こちらは学校から「動画はダメ」と言われているので、本人も見ません。代わりに入っている学習アプリを、暇つぶしで開くようになりました。

「あ、またタブレットいじってるな」と思って覗くと、普通に勉強している。

この光景、去年の僕に見せてやりたいです。

これは正直、運が良かっただけです。学校のタブレットがたまたま受け皿になってくれた。もし家に何の受け皿もない状態でiPadだけ取り上げていたら、娘はただ不機嫌になって終わっていたと思います。

「取り上げたあと、代わりに何をさせるか」で詰まっている方は、すららと天神を父が両方調べて比較した記事も置いておきます。合う・合わないがはっきり分かれる世界なので、あくまで比較材料として。

③ 弟の世話をしてくれるようになった(これが一番うれしかった)

リョウの朝ごはんを手伝う。着替えを手伝う。ご飯をよそう、食器を運ぶ、水を入れる、机を拭く。

理由を聞けば、たぶん「暇だから」です。崇高な理由なんて何もない。

でも僕にとっては、宿題が早くなったことより、こっちの方が何倍もうれしかった。

正直に書きます。この報告を妻から聞いた日、僕は台所で少し黙りました。

リョウは言葉を話しません。親が先にいなくなったあと、この子の隣に誰がいてくれるのかを、僕はずっと考えています。姉に背負わせるつもりは、まったくありません。それだけは決めています。

それでも、「暇だから手伝う」が自然に起きる家であること自体が、僕がずっと作りたかったものでした。

もっと早く、できなかったのかな。

理由はたぶん「暇だから」。それでも、うれしかった
理由はたぶん「暇だから」。それでも、うれしかった

④ 妻との会話は増えた。ただし、妻の仕事時間は減った

ここは正直に、マイナス面も書きます。

iPadを見ていた時間が、そっくりそのまま「お母さん、お母さん」に戻ってきました。妻の稼働時間は、確実に減っています。

裏を返せば、親子の会話が増えたということでもあって。今のところ我が家はそれで納得していますが、家庭によってはここが致命傷になると思います。

あと、これは大事な前提なんですが、メグが9歳、もうすぐ10歳だから踏み切れました。4歳の頃に同じことをやっていたら、たぶん我が家は崩壊していました。

変わらなかったことも、ある

読書です。漫画と図鑑。

これは前から好きで、iPadがあった頃からずっと読んでいました。取り上げても、増えても減ってもいません。

これ、地味に大事なポイントだと思っていて。

iPadを取り上げたから本を読むようになった、わけじゃないんです。本はもともと好きだった。iPadは、本とは別の枠を食っていただけでした。

ちなみに我が家の読書まわりは、「本を読んだら200円」のお小遣いアプリを父が自作して回しています。こちらはiPadとは関係なく、今も続いています。

父の設計ノート:うまくいった理由は、たぶん「取り上げたこと」じゃない

父親として、うまくいった理由を整理しておきます。

これはたぶん、取り上げたこと自体より、取り上げたあとに何が残っていたかの話です。

我が家には、iPadがなくなった穴を埋めるものが、たまたま先に用意されていました。

  • 学習アプリの入った学校のタブレット ── 暇つぶしの受け皿
  • 手のかかる弟 ── 役割の受け皿
  • 漫画と図鑑の棚 ── 時間の受け皿
  • 仕事中でも、話しかければ答えてくれるお母さん ── 会話の受け皿

受け皿が何もなければ、僕はたぶん「やっぱりうちには無理だった」と言って、1週間で元に戻していたはずです。

取り上げるのは、1日でできます。

受け皿を用意するのは、それより時間がかかります。

順番があるとしたら、たぶん受け皿が先です。

それでも、少しだけ罪悪感が残っている

こんなに良い結果が出たなら、もっと早くやればよかった。

そう思う一方で、あの5年間の自分を責めたくもないんです。

4歳のメグの「お母さん! お母さん!」を、iPadに肩代わりしてもらった日々。あれがなかったら妻の仕事は回らなかったし、僕はもっとイライラした父親になっていたと思います。

だから今回のことは、「間違いを正した」というより、iPadに助けてもらう期間が、そろそろ終わっただけなんだと思っています。

子育てって、正解を選ぶ作業じゃなくて、その時期に合った道具を選び直し続ける作業なのかもしれません。

タブレットに頼っていることを責められる筋合いは、誰にもない。ただ、頼らなくてよくなる日はいつか来るし、その日は思っているより早く来るのかもしれない、というだけの話です。

今朝の話

今朝も6時に、メグは起きていました。

僕が階段を降りていっても、もう何も隠しません。

ただ「おはよう」と言われるだけ。

それだけのことが、こんなに気分のいいものだとは思っていませんでした。

とはいえ、まだ1週間の話です。1ヶ月後にリバウンドしている可能性だって普通にあります。

なのでこの続きは、1ヶ月後にもう一度書きます。良い報告でも、そうじゃなくても、そのまま。

※これはあくまで我が家1件の記録です。お子さんの性格・年齢・ご家庭の状況によって結果は変わりますし、視力については必ず専門の医療機関にご相談ください。

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