給与明細を見て、手が止まった
給与明細の所得税の欄を見て、「あれ?」となりました。
8万円。
本来、僕の所得税は月2万円ちょっとのはずなんです。それが8万円になっている。差は、ざっと6万円。
しかもこれ、ボーナスでも同じことが起きていました。賞与からも8万円ほど多く引かれている。うちはボーナスが年3回あるので、こっちも積み上がります。
月6万円 × 12ヶ月 + 賞与で8万円 × 3回。
合計すると、年間およそ100万円。それだけ、手取りが去年より少ない状態で暮らしていることになります。
原因は「扶養控除申告書」
理由ははっきりしています。
会社の年末調整がうまく噛み合わず、扶養控除申告書が機能していない状態になっていました。
これ、正式には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」といって、毎年、会社に出しているあの紙です。名前は知らなくても、書いた記憶はあると思います。
この紙が会社に出ていると、毎月の給与から引かれる所得税が「本来の税率」で計算されます。出ていないと、高いほうの税率で引かれ続けます。
僕は確定申告をしているので、そのへんの処理が会社側とうまく噛み合わなかったようです。結果、高いほうで引かれ続けていた。
うちは本来、所得税が低いはずの家
もう少し事情を書きます。
うちには重度知的障害のある息子(リョウ)がいます。同居しているので、税金の計算上、特別障害者の控除が使えます。
これがあると、所得税はけっこう下がります。だから僕の所得税は、同じくらいの給料の人より、もともと低いんです。月2万円ちょっとというのは、そういう理由です。
その控除が効いていない状態で引かれているから、低いはずの人が、高いほうで取られている。差が大きく出るのは、そのせいです。
でも、これは損ではない
先に書いておきます。このお金は、戻ってきます。
僕は毎年、確定申告をしています。多く引かれた分は、申告すれば還付されます。来年の5月ごろには戻ってくる。税理士さんにも状況は伝えてあって、「問題ない」と言われています。
損はしていない。ただ、1年間、お金が寝ているだけです。
そして人事にちゃんと説明すれば、直してもらえる話でもあります。
じゃあ、なんですぐ直さなかったのか。
ふと思った。「これ、実験じゃないか?」
ある日、気づいてしまったんです。
手取りが年間100万円少ない状態で、今、暮らしている。
……これって、「年収が100万円下がる転職をしたら、どうなるか」の実験そのものでは?
僕はここ何年か、ずっと考えていることがあります。
もっと時間がほしい。子どもたちといる時間を増やしたい。そのために、年収が下がっても、時間の自由が効く働き方に移れないか。
でも、そこで必ず止まるんですよ。「下がって、本当に生活できるのか?」
エクセルで計算したことは何度もあります。数字の上では、いける。いけるんだけど、実感がない。数字は「いける」と言っているのに、腹が決まらない。
その実感が、いま勝手に手に入っている状態でした。

結果:ふつうに暮らせていた
で、そのまま1年近く、直さずに過ごしてみました。
結論から書きます。
ふつうに暮らせていました。
家計は赤字になっていません。それどころか、この期間に車を1台買っています。それでも家計は黒字のまま。
資産のほうは、株が円安と株高でよく伸びてくれたこともあって、増えました。しっかり増えた。手取りが100万円少ないのに、です。
正直、拍子抜けしました。
なぜ耐えられたのか
理由を分解すると、こんなところだと思います。
1. 今の暮らしに、そこまで金がかかっていない
これが一番でした。うちは派手な暮らしをしていません。外食もそんなに多くない。一度身についた生活水準は、収入が上下しても勝手には変わらないんですね。
2. 奥さんの収入がある
共働きです。片方の手取りが減っても、家全体では吸収できる。これは大きい。
3. 家計が把握できている
リベ大の考え方で家計を整えてきたのが効きました。何にいくら出ていくかが分かっているから、「100万円減っても大丈夫」が計算ではなく感覚で分かる。
分かったこと
いちばん大きかったのは、これです。
僕は、年収が100万円下がっても生きていける。
数字ではなく、実際に1年やってみた実感として、そう言えるようになった。
これは、けっこう大きい変化でした。
今まで僕は、転職を考えるときに必ず年収を軸にしていました。下がるなら無理だ、と。でもその「無理だ」に、根拠がなかったんです。怖かっただけだった。
ということは。
もう少し収入が下がっても、時間の自由が効くところに移れるなら、それは選べる選択肢だということになります。生活レベルを落とさずに、資産も増えたまま。
僕にとっていちばん大事なのは、時間です。リョウとメグと一緒にいられる時間を、1分でも増やしたい。ずっとそう書いてきました。
その「増やす」を、実際に選べるかもしれない。そう思えた1年でした。
最後に、念のため
3つだけ、はっきり書いておきます。
1. これはマネする話ではありません。
扶養控除申告書が出ていない状態は、単純に、お金が1年間寝るだけです。得は一切ありません。気づいたら会社に言って直してもらうのが正解です。
2. 僕の場合は、確定申告で戻ります。
確定申告をしていない人がこの状態になると、話がまるで変わります。自分がどっちなのか分からない人は、会社か税務署に確認してください。
3. 税金の話は、人によって条件が違います。
うちは障害者控除がある家庭です。書いた金額は、あくまで僕の家のケースです。自分の場合どうなるかは、税理士さんか税務署で確認してください。
僕は、そろそろこの実験を終わりにして、人事に直してもらおうと思います。
取れ高は、もう十分あったので。

コメント