足が、しびれている。
最近ずっとだ。立っていると、足の裏からじわじわと嫌な感覚が上がってくる。仕事中、ふとしゃがむと、立ち上がるのに一拍かかるようになった。
15年間、食品スーパーの現場に立ち続けてきた。惣菜を作り、売場を整え、スタッフを動かし、気がつけば主任になっていた。この15年、足は一度も休んでいない。立ち仕事とはそういうものだと思ってきたし、実際そうだった。
でも最近、正直に思う。このまま続けるのは、難しいかもしれない。
今度、MRIを受けることにした。
15年立ち続けた足が、限界を告げた
痛い、というのとは少し違う。しびれる、が一番近い。朝はまだいい。昼を過ぎたあたりから足の裏がぼんやりして、夕方にはふくらはぎまで重くなる。帰りの電車で座ると、しびれがじわっと抜けていく。あの瞬間だけ、ほっとする。
現場仕事は好きだ。15年やってきて、今でもそう思っている。朝、売場に立って、今日の天気と客層を見て、「今日はこれが売れる」と組み立てる。あの感覚は、たぶん座っていたら一生わからない。
でも、体は正直だ。好きとか嫌いとか関係なく、限界は来る。
怖い。書いてしまえば、それだけだ。MRIの結果が怖いんじゃない。——このまま現場に立てなくなったとき、俺には何が残るのか。それが怖い。
15年間、「現場の人間」として生きてきた。それ以外の自分を、俺はまだ知らない。
だから、キーボードを叩くことにした
どっちにしても、このまま立ち仕事だけで食っていくのは難しい。そう腹をくくった日に、ふと思った。
——座ってできる仕事を、作ればいいじゃないか。
きっかけはClaude Codeだった。ブログの自動投稿の仕組みを作ったとき、コードを一行も書けない俺でも、AIに聞きながらなら動くものが作れた。娘のお小遣いアプリも、同じやり方で形になった。
だったら、もっと先に行けるんじゃないか。AIの力を借りれば、俺みたいな非エンジニアでも、新しい収入の柱を立てられるんじゃないか。
正直、できるかはわからない。プログラミングの知識はゼロだし、ビジネスの設計だって手探りだ。でも、足がしびれたまま立ち続けるよりは、座ってキーボードを叩くほうがマシだ。少なくとも、足は痛くならない。
今は毎晩、子供たちが寝た後にMacを開いている。Claude Codeに「こういうの作りたいんだけど」と話しかけて、少しずつ、何かが動き始めている。何になるかはまだわからない。でも、止まっているよりは、ずっといい。
止まるわけにはいかない理由
タカラがいる。エナがいる。
タカラは将来、誰かの支えがなければ生きていけない。その「誰か」が俺でなくなったあとも、お金と仕組みだけは残しておきたい。エナには、弟のことで背負わせすぎないように、できる限り道を整えておきたい。
そのためには、収入源がひとつじゃ足りない。現場の給料だけでは、設計が脆い。だから、もうひとつ柱を立てる。立ち仕事じゃない柱を。
足がしびれたのは、たぶんサインだったんだと思う。「そろそろ次を作れ」という、体からの合図。
MRIの結果はまだ出ていない。出たら、それはそれで受け止める。でも結果がどうであれ、キーボードは叩き続ける。
怖いか怖くないかで言えば、怖い。でも、怖いまま動くのは、もう慣れた。
足がしびれても、指は動く。だから今日も、叩く。

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